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らくちんイタリア語会話 vol.150

- 16 aprile 2006 -

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今日のテーマ: coglioni 〜 2006年イタリア総選挙
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2006年4月9・10日、イタリアで2001年以来となる総選挙が行われました。

ベルルスコーニ率いる中道右派連合 Cdl(Casa della liberta`)「自由の家」と、
プローディ率いる中道左派連合 Unione「連合」との戦いは、「La serieta` al
Governo」(真面目さを政府に)をスローガンに掲げるプローディが僅差で勝利し
ました。

1996年の総選挙でベルルスコーニを破ったのも、このプローディでした。3年間
首相を務めたのち1999年から2004年まで欧州委員会の委員長を務め、長年EUの
顔として活躍していました。

詳しい結果については、以下レプッブリカのサイトをご覧下さい:
http://www.repubblica.it/speciale/2006/elezioni/camera/

前回2001年の総選挙については、当時のメルマガをご覧下さい:
http://aromazzi.hp.infoseek.co.jp/20010513.html

この長かった選挙戦で、票に影響を与えたと思われる様々な出来事を振り返ってみ
ましょう。

まず挙げられるのはやはり、イラク侵攻問題です。イタリアでは元々、イラク侵攻
には反対の声が大勢を占め、国民の多くはベルルスコーニのアメリカ追随に批判的
でした。そこに起こったのが去年3月の「カリーパリ殺害事件」でした。詳細は以
下をご覧下さい:
http://aromazzi.hp.infoseek.co.jp/20050305.html

この事件で、アメリカの不誠実な対応はイタリア国民の怒りの火に油を注ぎ、さす
がのベルルスコーニもイラクからの撤退をちらつかせ始め、2006年内にはイタリア
軍を完全に撤退させることになったのでした。

ベルルスコーニも10月末にはこのような発言もしていました:

Non ero convinto della guerra in Iraq.
私はイラクでの戦争には納得していなかった。

さらに、アメリカのイラク侵攻が間違った情報に基づいて行われたことをブッシュ
自身が12月に認め、いまやイラク侵攻が誤りだったことはアメリカ国内はもとより
イタリアでも周知の事実となっています。日本では“政府の努力”のおかげか、
あまり知られていないことのようですが。

そして、殺害されたカリーパリの未亡人ローザ・カリーパリが中道左派連合の
「オリーブの木」から立候補したのでした。


続いて2月に大きな騒動となっていたのが、イスラム侮辱問題でした。
デンマークの新聞が掲載したイスラム教の予言者マホメットの風刺画に端を発し
欧州全体に広がったイスラム侮辱問題はイタリアにも波及しました。極右政党
レーガ・ノルドの大臣、カルデローリはイスラムを侮辱したTシャツを作り、こう
のたまいました:

Con la mia maglietta e` una battaglia di liberta`, la indosso anche adesso.
この私のTシャツで私は自由の闘いをしているのだ、今だって着てやるぞ。

さすがに見かねたベルルスコーニは即、このストロンツォを辞任させました。
このインベチッレを語る時には私はパロラッチァを禁じえません、お許し下さい。

副首相フィーニも火消しに躍起でした:

Rispettiamo ogni religione e pretendiamo identico rispetto.
私たちはそれぞれの宗教を尊重していますし、同じ敬意を持つことを強く望んでい
ます。

別れて正解、カルデローリの離婚した元妻のコメント:

Servono comportamenti responsabili per tornare al dialogo e al reciproco
rispetto.
対話と相互尊敬を取り戻すためには責任ある行動が必要です。

そしてこの問題はついに、悲惨な事件を巻き起こしました。
トルコで宣教師をしていたアンドレーア・サントーロ神父が、16歳のトルコ人青年
に射殺されたのでした。殺害の動機は、風刺画でした:

E' rimasto sconvolto dalle caricature del profeta Maometto pubblicate in
vari Paesi europei.
彼は欧州各国で発行された預言者マホメットの風刺画にショックを受けていた。

パーパ、ベネデット16世はドン・アンドレーアからの手紙を公開し、深い悲しみを
表しました。

そしてこの期に及んでなお、あのどうしようもないクレティーノ、カルデローリは
そのファッチァダクーロでこう言いました:

Ho avuto il coraggio di scoprire il "vaso di pandora".
オレはパンドラの箱を開ける勇気をもっていたのだ。

私はしばらくの間、緑のネクタイ(レーガ・ノルドのシンボルカラー、このイディ
オータがいつも着けている)を見るのも嫌になりました。


選挙前にはさらに悲しい事件が起きました。
3月2日、パルマ近郊で1歳5カ月のトンマーゾ君が誘拐される事件が起きました。
ベネデット16世、大統領チァンピを始め、イタリア中がその解放を訴え願う中、
4月1日、かわいいトミーは変わり果てた姿となって遺体で発見されたのでした。
1ヶ月間のイタリア中の叫びもむなしく、トミーは誘拐直後に殺されていたことが
分かりました。ママのつけてくれたおむつをはいたままでした。

イタリア中が深い悲しみに包まれ、直後のサッカーのスタジアムではトミーを
追悼する横断幕があちこちに掲げられ、選手たちは喪章をつけ、1分間の黙祷が
捧げられました。その横断幕の中には、以下のようなものもありました:

Nessuna pieta` per questi infami, solo la pena di morte.
この悪人たちに情けはいらない、死刑しかない。

イタリアでは死刑は禁止されています。近年では、ムッソリーニのファシズム政権
下で死刑が復活していましたが、戦後廃止され今に至っています。

選挙直前のこともあり、この事件が政治利用されるのは嫌だなと思っているとやは
り出てきたのがベニートの孫娘、アレッサンドラ・ムッソリーニでした:

Occorre subito un referendum per chiedere al popolo italiano
l’istituzione della pena di morte per chi uccide i bambini.
子供殺しに対する死刑の制度をイタリア国民に問う国民投票がすぐに必要だ。

彼女の政党への支持はともかく、この意見にだけは賛同する人は多かったことで
しょう。下院議長のカズィーニはかろうじてこう言いました:

Se oggi tutti noi non fossimo cristiani, saremmo veramente favorevoli
alla pena di morte.
もし今日我々がキリスト教徒でなかったら、本当に死刑に賛成しているでしょう。


また、政治活動にも積極的な左派支持者として有名な映画監督、ナンニ・
モレッティの新作映画「Il Caimano」(カイマンワニ)も話題になりました。
ベルルスコーニをワニに例えたこの風刺映画は3月24日に公開され、投票日直前の
週末のイタリアの週間興行成績で1位を獲得しました。当然、選挙を意識しての
公開かとの質問に、モレッティはさらっとこう答えていました:

E' un film sull'Italia di oggi.
これは今のイタリアについての映画だ。


肝心の選挙戦の中身ですが、激しい罵声の飛び交う言い争いとなりました。
中でも注目を集めたのは、投票日までcompleta astinenza sessuale (完全セック
ス断ち)を公言していたベルルスコーニの“放言”でした。

例えば3月、「共産主義者は子供を食う」発言:

Mi accusano di aver detto piu` volte che i comunisti mangiano i bambini:
leggetevi il libro nero del comunismo e scoprirete che nella Cina di Mao i
comunisti non mangiavano i bambini, ma li bollivano per concimare i campi.

共産主義者が子供を食うと私が何度も言ったと非難されるけど、共産主義の闇本を
見てみなよ、毛沢東時代の中国では子供は食っていなかったが子供を田畑の肥やし
用に煮ていたって書いてあるぞ。

当然、中国から抗議を受けました。そして極めつけは4月、「キンタマ野郎」発言:

Ho troppa stima per gli italiani da pensare che ci siano in giro cosi`
tanti coglioni che voteranno contro i loro interessi.
私はイタリア人を尊敬しているから、自らの利に反する投票をするようなキンタマ
野郎(=マヌケ)がそんなにたくさんゴロゴロいるとは思いませんよ。

当然、この発言は大騒動を巻き起こしました。ローマの広場には150人もの若者た
ちがある人は色を塗った玉を2つぶら下げて、ある人は「Io sono un coglione」
(私はキンタマ野郎です)と書かれたカードを持って集まりました。

ディ・ピエートロは、きれいに韻を踏んでくれました:

Meglio coglioni che Berlusconi.
ベルルスコーニよりキンタマ野郎の方がマシだ。

私の掲示板でも、爆笑の「キンタマ野郎・インベーダーゲーム」が紹介されています
ので、是非遊んでみてください。。。
http://otdi3.jbbs.livedoor.jp/italia/

いづれにせよ選挙終盤でのこの発言は、若者を中心にアンティ・ベルルスコーニの大
きな波を起こしたと考えられます。


かくして、選挙に敗れたベルルスコーニですが、未だに敗北を認めていません。
「投票に不正行為があった」と言ってみたり、疑問票の再確認を求め、再確認し
ても結果に変わりないことが明らかになると全投票用紙の再確認を求めたがチァン
ピ大統領に却下されたり、「僅差なんだから大連立を」と言ってみたり。。。

今日のニュースではあのマレデット、カルデローリがまた何か言ってます:

La Cdl è gia` in vantaggio alla Camera di circa 20 mila voti.
「自由の家」は下院で2万票上回っているぞ。

全てのパロラッチァをこのブルットテスタディカッツォに捧げます。


これで、ブッシュ・小泉・ベルルスコーニの右派連合“右の枢軸”のうち、欧州の
一角が崩れることになりました。ブッシュも一度は選挙を乗り切ったものの、ボロ
は次々に見え始め、いまやアメリカ史上稀に見る“国民に愛されていない大統領”
となっています。こうしてみると、未だに支持率の高い日本の首相は、ごまかすの
がうまいのか、国民の方がcoglioni扱いされているのに気づいていないのか。。。


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