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らくちんイタリア語会話 vol.78

- 4 febbraio 2001 -

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今日のテーマ: il postino 〜 avete lasciato qualcosa
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3週に渡りお届けして来ました、イタリア映画『Il postino』(イル・ポスティーノ)
で学ぶイタリア語、今週は最終回です。今週号から見ている方はまずこちらをどうぞ。
らくちんイタリア語会話 vol.75 http://aromazzi.hoops.ne.jp/20010114.html
らくちんイタリア語会話 vol.76 http://aromazzi.hoops.ne.jp/20010121.html
らくちんイタリア語会話 vol.77 http://aromazzi.hoops.ne.jp/20010128.html

Mi mancherai, Mario...
あなたがいなくて寂しくなるよ、マリオ...

マリオの親友であり師であったパブロは、チリへ帰って行きました。
郵便配達の仕事もなくなったマリオは、ローザとベアトリーチェのオステリア(居酒
屋)で一緒に働き始めるのでした。
そんな時、与党・キリスト教民主党の候補ディ・コズィモは、水道工事のための労働
者が20家族2年間、食事の為にこのオステリアを使うことを約束したのでした。

Vota Di Cosimo!
Il vostro candidato si impegna a condurre tutti noi sulla nuova strada!
ディ・コズィモに投票を!
彼は我々を新しい道へと導くことを約束します!


Mario: Qua venti famiglie dove le mettiamo!?
   ここに20家族もどこに入れるんだよ!?

Beatrice: Faremo due turni! Tre, se e` necessario!
     2交替制にするわよ! 必要なら3交替にでも!

Mario: Fate come volete!
   おまえたちの好きなようにしろよ!

Rosa: No! Facciamo come vogliamo!
   Sareste disposto a mettervi in cucina signor marito?
   いいえ! “私たち”の好きなようにするのよ!
   ご主人様、キッチンに配置頂く準備はよろしいかしら?

Mario: In cucina?
   キッチンに?

Rosa: Si`!
   そうよ!

Mario: Si`...
   はい...


また、マリオたちは、パブロのインタビュー記事を見つけて、自分たちのことが書か
れていないことにがっかりするのでした。

"Ho amato invece molto l'Italia dove ho partecipato ad una vita felice
in piena solitudine e fra la gente piu` semplice del mondo."
“一方、静寂に満ちた、世界で最も素朴な人々の中で幸せな生活を過ごしたイタリア
を私は愛しました。”

Che cosa ricorda con maggiore nostalgia del nostro paese?
我々の国(イタリア)で最も郷愁を感じるのは何ですか?

"La nostalgia e` un sentimento che posso riservare solo la mia patria.
Pero`, non dimentichero` mai le mie passeggiate sulla spiaggia e fra le
rocce dove crescono piante e fiori minuscoli cresciuti esattamente come
una grande composizione del giardinaggio."
“郷愁は我が祖国にのみしまっておく感情だ。しかし、私は忘れることはないだろう、
偉大なる庭園の作品のように見事に生えた小さな植物や花が育つ、海岸や岩々の間を
散歩したことを。”

Mario: Vai! Continua, vai!
   さあ! 続けて、さあ!

Capo: Finito!
   終りだ!

Rosa: E di noi non parla proprio?
   それで私たちについては何も話さないのかい?

そしてローザはお決まりの“ことわざ”を言い放ちます:

"Uccello che ha mangiato, vola via!"
“餌を食べた鳥は飛び去る”のよ!

その後、選挙はキリスト教民主党の勝利に終わり、その途端にキリスト教民主党議員
のディ・コズィモは約束していた水道工事を中止させました。水道工事の労働者20家
族分2年間の食事を約束されていたローザのオステリアは、その準備のための借金も
しており、大打撃となりました。

Di Cosimo: E` un peccato lasciare i lavori a meta.
      Ma speriamo di riprenderli al piu` presto.
      途中で工事をやめるのは残念だ。
      まあ、なるべく早く再開することを祈ろう。

Rosa: Presto, quando?
   早くって、いつですか?

Di Cosimo: Non lo so. Dipende.
      Ma vi assicuro che non passera` troppo tempo. Comunque,
      per oggi non vedo l'ora di assaggiare la vostra cucina.
      分からないな。状況次第だ。
      でもそんな長くは経たないことは約束するよ。
      いづれにせよ、今日のところはおたくの飯を早く食べたいね。

Mario: Dipende da che?
   何の状況次第なんだ?

Di Cosimo: Eh, i problemi di imprese sono complessi.
      あぁ、事業の問題は複雑でね。

Mario: I problemi di imprese non li capisco. Pero` mica sono scemo.
   Qua lo sapevamo tutti quanti che appena venivate eletto i lavori
   venivano interrotti.
   事業の問題は俺には分からない。でもバカじゃないぞ。
   ここではもうみんな知ってる、おまえが当選した途端工事が中止になった!

マリオは海を見つめ、つぶやきます。

Pensa se sta ancora qua Don Pablo, forse le elezioni andavano meglio...
もしパブロさんがまだここにいたら、たぶん選挙はうまくいったのに...

そんな中、チリのパブロから初めて来た手紙は、秘書からの事務的な手紙でした。
1年以上経っても一言の挨拶の手紙もないことに、皆がっかりしていました。
マリオは、自分は価値のない人間だと自分に言い聞かせようとしていました。

Perche' si deve ricordare di me...
Come poeta non vale niente...
Che si ricordi come postino... il postino dava la posta quando stava...
Come comunista nemmeno...

どうして俺のことなんか覚えているわけがあるよ...
詩人としては何の価値もない...
郵便配達人としてはどう覚えているか... あの時郵便を届けてくれたとか...
共産主義者としてはまったくだ...

しかしマリオは、パブロの家に残されたテープレコーダーを改めて聴き、ある考えを
思い付きました。かつてパブロに、「una della melaviglia della tua isola
あなたの島で素晴らしいものをひとつ」言ってみてと言われて、「Beatrice Russo
ベアトリーチェ・ルッソ」としか答えられなかったマリオは、島の素晴らしいものを
8つ、録音してパブロに贈ることにしたのでした。

numero uno: onde alla Cala di Sotto, piccole
1番: カーラ・ディ・ソットの波、小さいもの

numero due: onde grande
2番: 大波

numero tre: vento della scogliera
3番: 岸壁の風

numero quattro: vento dei cespugli
4番: 草の風

numero cinque: reti "tristi" di mio padre
5番: 私の父の“悲しき”網

numero sei: campana della "dolorata" con prete "Basta cosi`?"
6番: “苦悩”の鐘と司祭さま“これでいい?”

numero sette: cielo stellato dell'isola
7番: 島の星空

numero otto: cuore di Pablito
8番: パブリートの心拍


そして、パブロがカーラ・ディ・ソットへ戻った時、待っていたのは幼いパブリート
とベアトリーチェ、しかしマリオはそこにはいませんでした。
彼の残したテープには、パブロに宛てたメッセージが録音されていました。

Carissimo Don Pablo,
親愛なるパブロさん、

E` Mario, spero che non vi siete scordato di me. Va beh, comunque...
マリオです、忘れてなければいいのですが、まあいいや、つまり...

niente, vi ricordate che voi una volta mi avete chiesto di raccontare
una cosa bella della mia terra ai vostri amici che non mi veniva niente.
覚えてますか、私にこの地で美しいものをあなたの友達にひとつ話せとおっしゃっ
て、私には何も浮かばなかったこと。

Adesso lo so. Percio` vi voglio mandare questo nastro che potete far
sentire pure ai vostri amici se volete, se no, lo sentite voi.
今は分かります。だから、このテープを送ります、もしよければご友人にでもお聞か
せ下さい、もしくはパブロさんが聞いて下さい。

Secondo me vi ricordate di me, dell'Italia.
私は思います、あなたは私のことを、イタリアのことを覚えていると。

Quando siete partito io pensavo che vi eravate portato tutta la cosa
bella con voi.
あなたが旅立った時、あなたは美しいものを全て持ち去ったと私は思っていました。

Ma invece adesso lo so, adesso ho capito che avete lasciato qualcosa.
でも今は私には分かります、今分かったんです、あなたは何かを残してくれたことを。


共産党の集会で、パブロに捧げた詩を朗読しようとしていた時、マリオは警官隊の介
入に巻き込まれたのでした。

パブロを愛し尊敬していたマリオ、パブロに褒められるような人間になろうとしていた
マリオは、突然消えてなくなってしまったのでした。

パブロは、愛しい友をなくし、ただ海岸にたたずむばかりでした。

このマリオ役を演じたMassimo Troisi(マッスィモ トろイーズィ)は、この物語の時代
背景となった1953年に生まれ、そしてこの映画の撮影終了直後に心臓の病で亡くなった
のでした。この事は、映画に込められた尊い命の力をよりいっそう強く感じさせます。

●語句
Mi mancherai =「italiano! イタリアーノ! 01/29」参照。
turno = turn、順番、交替
peccato = 決まり文句。「残念だ」という意味。
a meta` = half、半分、途中
Dipende! = 決まり文句。「時と場合によるよ、状況次第だよ」という意味。
「Dipende da 〜」で、「〜によるよ」。


この物語の時代背景となった1953年のイタリア総選挙は、野党から"legge truffa(ペ
テンの法)"による選挙だとして批判された選挙であり、実際、野党・共産党が大躍進、
与党・キリスト教民主党は第1党の座は守ったものの過半数を割り、これ以降は共産党
以外の複数党と連立内閣を組むことになった選挙でした。それ故に、与党・キリスト教
民主党による共産党への攻撃は、実際あらゆる手段を使って行われていたのでしょう。

念の為に書いておきますが、当時のイタリア共産党は、旧ソ連や中国とは違い平和的
で、日本とも違い現実的な、非常に有能な政党であったといわれています。

そして特筆すべきは、この映画が公開された1995年の前年には、戦後一貫して政権の座
に居座り続けてきた与党・キリスト教民主党が度重なる汚職の発覚により選挙で大敗、
政権の座から降ろされ、粉々に崩壊したことです。そして公開から1年後の1996年に
は、イタリア共産党から変革した左翼民主党を中心とした内閣が誕生したのでした。

“文句を言うばかりで何かを変えようとする意志を持たなかった”昔のマリオは、すな
わち“腐敗した万年与党に支配された過去のイタリア人”であり、“強い意志を持って
立ち上がった”マリオは、すなわち“腐敗した万年与党を倒した現在のイタリア人”を
象徴しているともいえるでしょう。

今の日本人は、残念ながら、まだ前者のままです。


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