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らくちんイタリア語会話 vol.16

- 14 novembre 1999 -

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今日の言葉: furbo
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イタリア人を理解する上で、欠かすことの出来ない言葉、それがこの「furbo」です。
「フるボ」と読み、「抜け目ない、ずる賢い」を意味します。

イタリアで最も人気のあるジャーナリストの一人、エンツォ・ビアージはその著書の
中でこう書いています。
「形容詞『furbo』は、フランス語では人を侮辱する言葉だが、
イタリア語ではほめ言葉になる。」

人にだまされる者は「fesso フェッソ(=間抜け)」、
人をまんまと出し抜く者は「furbo」という訳です。

イタリアには、次のようなことわざがあります。
「Per conoscere un furbo, ci vuole un furbo e mezzo」
「ペる コノーシェれ ウン フるボ、チ ヴォーレ ウン フるボ エ メッツォ」
「『furbo』な人を見分けるには、1.5人分『furbo』であれ」

イタリアに行ったことのある人なら、多かれ少なかれ心当たりがあることでしょう。
タクシーで料金をぼられたり、買い物をしておつりをごまかされたり、荷物がいつの間
にかなくなっていたり、ちょっとしたホラをふかれてだまされたり、約束をすっぽかさ
れてシラをきられたり、サッカーしてて蹴られてもいないのに大袈裟に痛がったり、、、

こういった事を書くと、「イタリア人はみんな詐欺師なの?」と怖がる人もいるかも
しれませんが、イタリア人全てがそうなのではありません、ナポリ人だけです。
(うそうそ!ごめんねナポリ人の皆さん。ナポリ人はそういった悪いレッテルをすぐに
はられることが多くて気の毒です。でも当たってる部分も多いけど。)
ただ、そういう価値観がイタリアには存在しているという事は、知っておく必要が
あります。

実際、イタリアでは「furbo」に生きることを余儀なくされます。
例えば、車の運転にしても、律義に車線や交通ルールなるものを守っていては、
無秩序な現実にはついていけません。そこは「賢く」、交通量が多ければ3車線道路
のはずの道でもスイスイとチンクエチェントが割り込んできて車線がどんどん増えたり、
信号が赤でも行けそうなら行ってしまったりします。特にナポリ以南ではそう。
(うそうそ!ごめんねナポリ人の皆さん。でも実際ミラノ人の間では「ナポリ以南には
絶対に車で行きたくない」と言う人も結構多いけど。)
ただそれでもイタリアでは、小さい事故は多くても大きな事故は他の欧州諸国に比べて
少ないそうなのです。イタリア人は皆、他のドライバーが「信用できない」ことを
心得ているのです。

イタリアの有名なことわざには、次のようなものもあります。
「fidare e` bene, non fidare e` meglio」
「フィダーれ エ ベーネ、ノン フィダーれ エ メッリョ」
「信用するのは良いこと、信用しないのはもっと良いこと」
ドイツの友人にこのことわざを教えたら「あぁ、イタリアや!」と大笑いしてました。

イタリアで電車が遅れて、イライラしているのはいつもドイツ人か日本人です。
イタリア人は、電車が遅れてもショーペろ(sciopero=ストライキ)で止まっても、
「いつものこっちゃ」って感じで切り抜け策を見出します。国鉄を、国を、他人を
「あてにできない、信用できない」事を心得ているのです。

イタリアでこのような価値観が浸透した原因は、ローマ帝国崩壊後、多くの周辺国家
に侵略され続けてきたその歴史的な背景も大きく影響しているのでしょう。
「furbo」でなければ生きていけない、そしてそんな生き方そのものを楽しもうって
いうのが、長い歴史の中で浸透していったのでしょう。

そういった「furbo」に生き抜くコツを、「l'arte d'arrangiarsi」と呼びます。
「ラるテ ダッらンジャーるスィ」と読み、「世渡りの術」という意味です。

あるナポリ人は、「Questa e` l'arte d'arrangiarsi napoletana! クエスタ エ
ラるテ ダッらンジャーるスィ ナポレターナ!」「これがナポリ流世渡りの術よ!」
と言って、駐車違反のキップをきられても罰金を払わないでよい方法をうれしそうに
説明してくれたことがありました。ナポリでは、誰もがこの術を心得ているそうです。
(うそうそ!ごめんねナポリ人の皆さん。もうええて?)

●語句
per = for. per+不定詞で、(in order) to〜、〜をするためには
conoscere = know. 英語consciousは、この言葉から派生。
un = 不定冠詞男性形、英語の「a」と一緒。
ci vuole = it takes. 〜が必要だ。
vuoleは、動詞volere(=want)の3人称単数現在形。
e = and
mezzo = half. フェッリーニの名作「8 1/2 オット エ メッツォ」のメッツォです。
fidare = trust
e` = is
bene = good
non = not
meglio = better
questa = this. 女性形。
la = 定冠詞女性形、後ろに付く名詞が母音の時は、くっついて「l'〜」
arte = art. 「e」で終わるので分かり難いですが、女性名詞です。
di = of. 後ろに付く単語が母音の時は、くっついて「d'〜」と言う場合もある。
arrangiarsi = 英語に直訳して「arrange oneself 自分で調整する」、
意訳して「manage なんとかする」→なんとか切り抜ける、うまくやる

映画「La vita e` bella」の主人公グイドの生き方も、「トスカーナ流世渡りの術」
と言えるのでしょう。そういえば、来月末にはビデオレンタルが始まるそうです。
そしたら、またイタリア語の題材として取り上げようと思います。


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